「リフォーム」
今の家に仲介会社の夕ナカ氏に連れられはじめて足を踏み入れたとき、売り主のオオイリさんが美しく整えていたために、まるでモデルルームのように思えた。
が、水回りには、さすがに築年数を感じた。
最近のマンションは、風呂は追い焚き式が主流であるのに対し、給湯式。
浴室の壁は、抗菌タイルではないようで、掃除がたいへんそうだ。
帰りの車の中で夕ナカ氏に感じたとおりを話すと、
「でも、あの家みたいに、すべての水回りに窓がついているのは、めずらしいです」
今の物件にはなかなかないことだという。
「せっかくだから、ついでに見てみますか」
と、さきの家より三百万円高い新築に寄ったが、たしかにそうだ。
「私なら、同じお金を出すならば、さっきの家を三百万円かけてリフォームします」
彼にしてはめずらしく私見を述べた。
「リフォーム」
という言葉が、私の中に最初にインプットされたやりとりだった。
親の家でも引っ越しは何回かしているが、
「リフォーム」
は、いまだかって経験したことがなかったのだ。
それが現実的な可能性として、私の頭の中でふくらむまでには、今しばらく時間がかかる。
オオイリさんが引っ越していった後、一時的に空き家となった家に、タナヵ氏と出向いた。
不動産取引用語で言う
「現地の確認」
のためである。